高齢者ケア&コミュニケーション通信講座

高齢者のケアとストレス

その日は春とは思えぬほどの陽気で、歩いていても汗ばむほどの気温でした。街を行き交う人々の服装が春の終わり、そして夏の始まりを教えてくれるようでした。

私は職場を出て、お昼をどこで食べようかと考えながら歩いていました。すると、選挙の候補者が街頭演説している前を通りかかりました。いつもと違うのは、周囲一帯が物々しい雰囲気に包まれていたことでした。

 

高齢者とのコミュニケーションの注意点

よく見ると、80代とおぼしき高齢者の男性が、候補者に食って掛かるようにして怒鳴っています。マイクを奪い取ろうとしたり、胸倉をつかもうとしている高齢男性と、それをさせまいとする候補者と支援者で押し合い、へしあいしています。

右足を引きずるようにして歩く高齢男性のそばには、奥様らしき高齢女性が「お父さん!やめて頂戴!」と言いながら必死で引きはがそうとしていますが、男性の勢いは止まりません。

高齢者の心理とカウンセリング

その高齢男性に自分の父親の姿を見た私は、その男性の近くまで行くと、男性の耳元で「パン!」と柏手を打ちました。自分でも驚くほど大きな音が出て、その高齢男性も、周囲の方々も驚いて、私を凝視したまま動きが止まりました。

「お父さん、そろそろ時間ですよ」私はそう言って高齢男性の腕を取ると、候補者の方から離れるように促しました。「時間って何の時間だ?」という高齢男性に「いいから行きましょ」と言ってさらに歩きます。奥様らしき高齢女性も、オロオロしながら一緒についてきます。

私は近くの公園の空いているベンチを見つけて、高齢のご夫婦に座ってもらいました。買ったばかりのお茶のフタを開け、高齢の男性に一口飲んでもらいました。そのまま高齢男性の横に座り「お父さん、大変だったね」と話しかけました。

高齢者と傾聴

「選挙の声がな、うるさくてな」「若いモンの態度がな、なっとらんのだ」そういう高齢男性の言葉にウンウンと頷きながら、私は高齢男性の話を聞きました。私が言ったことと言えば、高齢男性の話すことをオウム返しに返し、頷き、大変でしたねと声をかける、たったその3つだけでしたが、興奮していた高齢男性が徐々に落ち着いてくるのが分かりました。

「脳梗塞か何かをされたのですか?」奥様に尋ねると「そうなんです・・・散歩中に倒れて、手術して・・・右手と右足が動かなくなって、それから時々癇癪を起すようになって・・・」と教えてくれました。

高齢者の孤独感

この高齢男性が右足を引きずっているのも、感情のコントロールができない理由も、私には分かりました。脳梗塞の後遺症がこのような形で出ることがあるのです。また街頭演説のような大音量の音声は、キンキンと頭の中に響くため、イライラしてしまうのです。

趣味や仲間を持たない高齢者、特に男性の高齢者は、自分が世の中に必要とされていないと思い、孤独を感じることが多いようです。仕事をしている間は取引先がいて、部下にも頼られ、何かと必要とされていたのですが、それが定年を機にガラッと変わってしまう。その時に感じる孤独感をこのような形で表現するのです。

周囲の人からすれば「老人特有の問題行動」とみなされてしまいます。また心無い方は「老害」などとレッテルを貼って距離を置いてしまいます。そうなると、このような高齢者の方はますます孤立してしまいます。

高齢者&コミュニケーション・心理カウンセリング通信講座

介護や福祉などに予算が割り当てられ、デイケアセンターや老人ホームが増え、国家資格ができるというのは、そういう時代背景があるのだと思います。国家資格まで行かなくても、高齢者傾聴の講座など、高齢者にまつわる講座は人気があるようです。

高齢者ケアコミュニケーション講座の内容を見る

私も自分の両親のために「高齢者ケア」や「高齢者コミュニケーション」、「心理カウンセリング」の講座を受けていましたが、思わぬところでそれが役に立ちました。また同時に、実際に使える知識であることが分かり、とても自信がつきました。職場の同僚にも勧めてみようと思います。

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