四季の折り紙|縁起物や実用小物、世界に誇る日本の文化

折り紙でチップをスマートに

私は若い頃、商社に勤務していた関係で、海外出張が年に何度もありました。日本ではあまり根付いていませんが、海外では「チップ」が当たり前のようになっていて、チップのある・なしで受けられるサービスが断然変わってきます。それもそのはず、ホールスタッフやベッドメイクの方々は、基本給以外の「チップ」で生活しているからなのです。

しかし、日本人の感覚としては、お金を渡すというのはどうしても抵抗があります。例えばレストランに行って、給仕をしてくれたスタッフにお金を渡せるでしょうか?そもそも受け取ってくれなかったり、丁寧に断れられるなどして、お互い気まずい思いをしてしまう、それが分かっているから、日本では「チップ」の文化が根付かないのですね。

それでも日本人が海外に行ったら、やはり海外のチップ文化に合わせなければなりませんが、ちょっと抵抗がある・・・そこで思いついたのが「折り紙」だったのです。

折り鶴の下に1ドル札

アメリカではよくホテルのシングルルームを利用しました。シングルルームのベッドメイクの方にお支払いするチップの相場は約1ドル。1ドル札をそのままベッドサイドに置くのは、日本人の感覚としては少々無粋ですね。なのでお部屋に置いてあるメモ用紙を一枚取りました。このメモ用紙は正方形だったので、その紙で「折り鶴」を作りました。

折り鶴は誰でも折れる、折り紙の中でも最もスタンダードなものです。正方形の対角と対角を合わせて折り、それを半分に折り、袋折り、反対側も袋折り、という感じで折っていきます。幸い薄い紙でしたので、紙の厚さによるズレは気にせずに、ものの数分で折り鶴が完成しました。空気を吹き込んで膨らませ、頭の部分を折り、左の羽に「Thank」、右の羽に「You!」と書き込みました。そしてそれを1ドル札の上にそっと置いて、出かけたのです。

その日の業務を終えて、ホテルの部屋に入ってみると、整えられたベッドの上に、メモが置いてありました。そのメモには折り鶴のイラストが描いてあり、そこには感謝の言葉と共に「どうやって作ったらいいの?」と英語で書かれていました。ぐっすり眠った翌朝、折り鶴の折り目に、折る順番を書いて置いてきました。今でしたらインターネットで「Origami」で調べることもできると思いますが、当時はそんなものはありませんでしたから、とても喜んでもらえたようです。

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四季の折り紙を学び始めた

長年勤めた商社を定年退職し、再任用の期間もまもなく終わるという頃に、私は「四季の折り紙」講座に出会いました。それまでは折り紙と言えば、せいぜい折り鶴や紙飛行機程度で、凝ったものは自分には無理と思っておりました。しかし手先が器用で、細かい作業が得意だった私は、定年後の楽しみのつもりで講座に申し込みました。

日本には四季の移り変わりがあります。春にはおひなさまが飾られ、桜が咲き、こいのぼりが空を泳ぎます。この講座では、お内裏様とお雛様を、友禅模様の和紙で折ることができます。また桜の花びらをあしらった小皿を和紙で折り、それにちょっとしたお菓子を載せてお客様にお出しすることもできます。男の子の孫がおりますので、5月には兜を折って飾り、ひとしきり眺めながら楽しむ、そんな時間も持つことができました。

課題を一通りこなした頃には「コツ」が掴めてくるようです。そうなるとお食事に行っても、お箸の袋で上手に箸置きを作ったり、「ポチ袋」を作ってその中に心づけを入れてお渡しすることもでるようになっていました。お金を差し上げる際に、一工夫することでその価値が何倍にも感じられるのかもしれません。折り紙を折りながら、この講座に出会って本当に良かったと思いました。

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