建築模型士になるには|建築模型製作技能講座

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建築模型がある家で育った

私の父は一級建築士として、大手ゼネコンと呼ばれる会社で働いています。ビル一棟を設計したり、野球スタジアムの設計をしたりと、大勢の人が利用するビルや施設の設計をこれまで担当してきました。私が子供の頃、色んな所に一緒にお出かけしましたが、父が設計した建物が街には何棟も立っていて、「ほら、これもだ」「あのビルもそうだよ」という感じで教えてくれる父の横顔を見て育ちました。

建築模型のイメージ通りの建物

父が設計したスタジアムで野球観戦したのはとてもいい思い出です。もともとあった市営の球場でしたが、プロ野球の試合ができるように、観客席を増築したのです。その際の構造設計をしたのも父でした。増築後のスタジアムの建築模型を見せてもらいましたが、細部まできっちりと作られていて、そのイメージ通りにスタジアムが作られていることを自分の目で確かめることができました。

建物の設計は建築模型にも活きる

一口に建物と言っても、基礎があり、土台があり、建物を支える柱があり、梁があり、屋根や天井、床があり、壁や窓があり、内装があり、配管があるという感じで、様々な要素が複雑に絡み合って形作られています。それぞれに専門の会社や職人さんがいて、ダンドリよくお仕事を進めて納期までに完成させるのです。

その中でも「設計」は最も「要」となるお仕事で、ここがダメだとその後の工程でどんなにいい仕事をしてもダメなのです。例えば一回の地震で建物がゆがんでしまったり、重量物を搬入したら床の水平が取れなくなったのでは困ります。そうならないために、構造設計や強度設計があり、品質の担保された材料を使って専門の技能を持った人が組み立てるのです。

ですから、建築士の責任はとても重いのです。今では専門のソフトで難しい計算でも、複雑な図面でも描けてしまいますが、仮に専門のソフトがなかったとしても、計算書を作成したり、手作業で製図ができる実力がなければソフトを使いこなすこともできないのです。また「予算」の問題もあります。入札で決まった金額を超えるような建物は建てられませんし、利幅も取らなければなりません。建築士は設計だけができればよいというものでもないのです。

私は父と同じ建築士を目指して勉強していましたが、様々な事情があって建築士は断念しました。しかしその過程で、父のお仕事をお手伝いさせてもらったのがとても役に立ちました。専門のソフトを使って建物の構造を様々な角度から知ることができたのです。例えば外観から壁と屋根部分を消して骨組みだけにしてみると、強度を保つために、柱や梁、筋交いなどがどのように組み合わされているのかがよく分かります。壁の材料を変えることで強度が変わり、それに伴い金額も大きく変わることが分かりました。

建築模型士として仕事を始めた

そんな私は今、建築模型士として父のお仕事をお手つだいさせてもらっています。子供の頃家でよく見かけた建築模型を作る専門の職人になったのです。模型と言っても、ペーパークラフトのような安っぽいものではなく、それなりにしっかりした材料で作ります。完成形がイメージしやすいように、形の再現度だけではなく、質感も重要なのです。

建築模型士の勉強をするにあたり、当時別のお仕事に就いていた私は「建築模型製作技能講座」を利用することにしました。父の紹介で建築模型士に弟子入りすることも考えましたが、建築模型に関わる体系的な学習がしたかったので、通信講座を選びました。

建築模型士の勉強は通信講座で

教材一式を受け取ると、必要な材料も既に揃っていて、すぐに勉強を始めることができました。父のお手伝いで建築士の勉強をしていた私には少々物足りない分野と、私が全く知らなかった分野が満遍なく学ぶことができて、これなら初心者の方でも学びやすいだろうなと思いました。

分からない所があれば、それが設計に関する部分であれば父に尋ね、模型に関わる部分であれば講師に尋ねることができました。講師の先生からの返事はとても丁寧で、建築模型士として早く立ちあがって欲しい、そんな気持ちが文字を通してよく伝わってきました。

講座を学び終えた今思うことは、建築模型士を目指すことで、図面を読み取る能力や、建築に関する知識が身に着くということです。建築模型士を出発点として、建築に関する様々なお仕事に就くことも可能になるということです。一度は断念した建築士への道でしたが、何年後かにもう一度チャレンジしたくなるかもしれませんね。